鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽
新しい価値観の戦後、奔放に生きる男と強く真っ直ぐに生きる女
- 公開
- 2022/11/04(金)
- レイティング
- 監督
- 近藤明男
- 出演
- 宮本茉由
解説
太宰治「斜陽」執筆75周年記念映画 主演のかず子役には、美貌と演技力で将来性を高く評価されている宮本茉由。かず子の年の離れた恋の相手、作家上原二郎は、『キッズ・リターン』(96)で映画賞を総なめにした安藤政信。戦争で没落した貴族の一家の女当主で"最後の貴婦人"と称されるかず子の母親役には水野真紀。アイデンティティーを確立できず破滅へと歩を進める弟、直治には「仮面ライダージオウ」の奥野壮。さらに柄本明、萬田久子、田中健、細川直美、春風亭昇太ら演技派、実力派の面々が脇を固める。
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ストーリー
- 太平洋戦争が終わった昭和20年、没落貴族となった上、当主である父を失ったかず子とその母、都貴子は困窮してゆく生活の為に東京西片町の実家を売って西伊豆で暮らすことになった。もと子爵の別荘を世話してくれた叔父の和田は引越し疲れと心労で倒れた母とかず子に僅かなお金を手渡し、東京へ帰ってしまう。地下足袋、もんぺ姿になったかず子は隣の農夫茂助から畑仕事を教えてもらい、これからの新しい生活を始めるのだった。 一方、南国の戦地に赴いたまま行方不明となっていた、弟の直治が生きており帰国するとの知らせが入ると、母は家族が三人になればさらに生活が苦しくなるので、かず子に「再婚相手を探しているような歳の離れた資産家に嫁いだらどうか」と話す。激しい口論の末、激怒したかず子は「鳩のごとく素直に、蛇のごとく慧かれ」というイエスの言葉とともに6年前の出来事を思い出す。 まだ学生だった直治が師匠と仰ぐ、中年作家、上原二郎との出会いである。 直治を麻薬中毒から救うために酒飲みに転向させるとかず子を安心させ、酒に誘ったかず子を突然抱きしめ二重廻しの中で強引に接吻する上原に不意をつかれたかず子は身を固くしたまま受け入れた。一夜の恋心の目覚めであった。 そして半年後、戦闘帽と軍服姿で帰国した直治は、優しい母から小遣いをせびり東京の上原の元へと早々と別荘から出かけてしまう。直治からいろいろ話を聞くことを楽しみにしている母の為にも、弟の荒れた生活を止めさせる為にもかず子は東京へ向かう。焼け野原となった街を満員電車に揺られ、狂気じみたエネルギー溢れる闇市を抜け、上原が毎夜のように取り巻きの弟子たちと派手に飲みまくる西荻窪の飲み屋「千鳥」にやっとの思いでたどり着く。6年振りにかず子が見た売れっ子作家上原には頭に白いものが混じり、別人のように疲れきっていた。 入口に立ち尽くすかず子に気づいた上原は、直治を強引に伊豆に帰し、友人の画家のアトリエの二階に二人きりの一夜の宿を借りる。6年前の上原との出会いが甦るかず子の前に下のアトリエで一人酒を飲んでいた上原が現れ、素早くかず子を抱き締める。 「畜生、しくじった惚れちゃったよ、俺」 「好きよ、大好き」 歓びに身を固くしながらも全てをまかせるかず子。その裸身がまるで蛇のようにゆるやかにうごめく…。
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キャスト
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宮本茉由、安藤政信、水野真紀、奥野壮、田中健、細川直美、白須慶子、三上寛、柏原収史、萬田久子、柄本明、尾崎右宗、菅田俊、岡部尚、中谷太郎、緒方美穂、三木秀甫、岡元あつこ、栗原沙也加、今泉朋子、白石恭子、薗田正美、光藤えり、山村友乃、野崎小三郎、ジョナゴールド、春風亭昇太
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スタッフ
- 監督:近藤明男
[c] 2022 『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』 製作委員会 (オフィス近藤 アップサイド 実正寺 スペースT ぱあとなあ ハーモニー ライジングシネマ 山梨日日新聞社 山梨放送)
作品情報・予告編 提供:MOVIE WALKER PRESS